「ソデグルマ!」というアドバイスをもらい、マウントポジションにいる30代のおじさんが、袖車がわからずに試合中に練習しようとした時でした。
マウントポジションの下にいた相手が、今度は大間のマグロ並みの力でブリッジをし、私を振り落としにきました。
袖車の練習中だった私は、自分で自分の袖を掴んでいてまったくもって無防備だったため、そのままマウントポジションから振り落とされようとしていました。
「しまった!このままでは有利なポジションから外れてしまう!!」
マウントポジションから落ちていく中で、そんな損得勘定をしていました。袖は相変わらず持ったまま。
そこに、一筋の光明が差すのです。
相手の右手が私の袖車もどきの腕を持っている事に気づきました。
相手の右手が無防備に伸びていたのです。
「これは、腕十字のチャンスじゃないか!!」
咄嗟に思いました。
腕十字とは、柔術を代表する技で相手の腕のひじを自分のお腹あたりに置き、テコの原理で相手のひじを破壊する非常に強烈な技です。
必死でした。
相手の右手を掴み思いっきり伸ばして足に挟み、腕十字というか、裏十字?(自分がうつ伏せになるような体勢での腕十字)みたいな形にもっていきました。
合ってるのか合ってないのかわかりませんでしたが、とにかく相手のひじにテンションがかかるよう、テコを使って右腕に腕十字をきめます。
『これで合ってるのかな・・・』
心配になっていたその時、相手がタップ(ギブアップ)しました。
自分にとっては20年くらい試合してたような気分でしたが、終わってみれば1分40秒程度の戦いでした。
終わった後、レフリーから勝ち名乗りを上げられ、腕を高々と上げられた時は、あぁこれで今日の試合が全部終わったという安心感と、勝ったという高揚感、色々混ざり合ってなんとも言えない幸福感で満たされました。
EBINA陣営に帰った時の、「お疲れ様です!」「すごい!!」「よくやった!」という仲間からの声に、本当に感激したのを今でも思い出します。
終わってみれば、2戦2勝。できすぎの内容でした。
運の良い事にその日はMVP賞も用意されており、なんと私が選ばれてISAMI製のキン肉マンの道着をいただくことができました。
今でも宝物のように家にあります。今後、我が家の家宝として保存していく予定です。
私の人生で、何か個人で勝利して賞品をもらったことはこの時が初めてです。笑
終わってからもFacebookを通じて「おめでとう!」「すごい!」というコメントもたくさんいただきました。
こんなに褒められたのも初めてかもしれません。笑
その日の夜、「あぁ、柔術は一生やめられないな。」とビール片手にしみじみ思いました。試合に初勝利した日の夜の酒の味は、一生忘れる事はないでしょう。
これが私が柔術を始めてから、試合に出場するまでの話です。
運動経験ゼロ、運動神経ゼロ、喫煙暦10年、30代、からの状態から始めても、試合に勝利してこんな快感を得ることができる格闘技、ブラジリアン柔術。
40代、50代から始められて、黒帯になっている方もたくさんいます。
これからもずっと、何かしらの形でブラジリアン柔術には死ぬまで関わっていこうと思ってます。世界中に道場を建てたいな~!
いやーブラジリアン柔術って、ほんと、素晴らしいですね!
それでは、
さよなら、さよなら、・・・さよなら!!
(完)